大変ご無沙汰しておりましたが、本日からブログ再開します!
本日は家の暖房器具としての薪ストーブについて徹底解説していきます。
薪ストーブは国内メーカーが少なく、需要も限られているためか、まとまった情報が得にくい器具です。
私もメーカーの仕様書に求めている情報が書いておらず、使用者のブログや動画を見て情報収集したという苦い記憶が。。。
そんな大苦戦した薪ストーブについてまとめました。
薪ストーブは贅沢品⁉︎気になるコストを解説
費用
家でパチパチと燃える火を眺めながら暖をとったり、ピザを焼いたりお湯を沸かしたり…。薪ストーブがあると火を利用した豊かな暮らしができます。
そんな薪ストーブですが、暖房器具として見ると高い費用がかかります。
まず本体・煙突・工事費を合わせて設置費用に100〜150万円かかります。
さらに、薪代も大きいです。1日に10時間使用すると薪は1日20kg程度使用します。1kgあたり50円程度なので、1日1000円、1年の内150日使用するとして年間15万円程度の薪代がかかります。
(エアコン暖房・灯油ストーブは年間約4万円)
寿命
また、本体寿命も重要です。
本体の鋳鉄・鋼板の接合部などが壊れたりすることで買い替えとなりますが、
本体需要は10〜30年と言われています。
大手メーカーの方がノウハウがあるので長寿命の薪ストーブを作っている印象です。
コストを考えた使用方法
このように、費用だけみると高価な薪ストーブですが、やはり火のある生活は魅力的です。
主暖房としてではなく、趣味として週末だけ使用するなど付き合い方を変えれば出費を減らすこともできるので自分に合った使い方を考えていきましょう。
薪ストーブを週末だけ使用する方法は、火を楽しみつつコストを抑える方法として一般的である。一方で、未使用の薪ストーブは煙突を通して外気が入り込み、断熱上不利になるというデメリットも。
鋳物製と鋼板製の違い
薪ストーブには鋳鉄で作った鋳物製と厚い板を加工して作った鋼板製があります。
デザイン
一般的に鋳鉄は複雑でクラシックなデザイン
鋼板はシンプルでモダンなデザインのことが多いです。
これは鋼板が板を加工していく作り方なので、シンプルなデザインにしか対応できないことが理由と思われます。
熱
鋳鉄は熱を溜め込む性質があり、温まりにくく冷めにくいです。
一方で鋼板はすぐに温まり、すぐに冷めます。
使う時間が短いなら鋼板、長いなら鋳物製が良いと言えます。
鉄板製薪ストーブ
他と比べて耐久性が低いので省いてますが、鉄板製もあります。
軽量で持ち運びしやすく、低価格という特徴がある薪ストーブです。
薪ストーブの暖房方式と設置場所
ほとんどの薪ストーブは火から直接発する熱で暖まる輻射式と、
暖めた空気を室内に流す対流式があります。
輻射式
本体から直接発せられる熱で暖まる方式。
薪ストーブに近づくほど暖まるので、家の真ん中に設置すると効率がいいです。
また、薪ストーブ自体が高温となるので、上面を利用した料理がしやすい、
熱容量が高いので、火が消えてもしばらくは暖かいといった特徴があります。
一方で少し触るだけでも大火傷する可能性がある、可燃物から大きく距離をとる必要があるなど、扱いには注意が必要です。
低温炭化
薪ストーブによる火災の原因として、低温炭化という現象があります。
木材が長時間熱にさらされ続けることによって炭化が進み、最終的には発火点が低くなり自然発火する現象です。
これを防ぐためにはメーカーの規定や、建築基準法の規定を守り、壁からの適切や距離をとることです。また、遮熱壁を設けることも重要です。
遮熱壁
内部に空気層を持たせた二重壁。空気層によって熱を遮断し、低温炭化現象を防ぐことができる。
また、薪ストーブ周辺の床・壁は不燃材料で作る必要がある。
主に石や土壁・鉄などの素材を用い、工事でつくる場合が多い。
対流式
暖めた空気を室内に流す方式。
家全体を効率的に暖めやすく、薪ストーブを家の真ん中に置く必要はありません。
しかし、暖かい空気は上に溜まりやすい性質があるため、下は寒いのに上階だけやたら暑い状況になる可能性があります。
これを防ぐためには吹き抜けを避けて天井が低い位置に設置するか、空気を循環する装置を活用する必要があります。
対流+輻射式
対流式+輻射式の両方を併せ持つ方式。
本体からの輻射熱で暖まりつつ、熱せられた空気で家全体を効率よく暖める、良いとこ取りの方式です。
どの方式にしろ、薪ストーブは小さいものでも30坪(約100平米)以上を暖める能力があります。
家全体が暖まるようなワンルーム空間のような間取りと効率の良い設置場所を意識しましょう。
おまけ:開放型
暖炉のように、火室が開放されているタイプ。
このタイプは熱気がそのまま煙突から逃げてしまうので、
暖房ではなく、火を鑑賞することが主目的となります。
熱効率が良い薪ストーブとは?機能性とは両立しにくい
熱効率は、薪(エネルギー量)からどれくらい効率よく熱を出せるかの能力数値です。
メーカーが力を入れているところで、多くは未燃焼ガスを残さないように一度燃焼させた空気を循環させて何度も燃焼させる方式をとっており、その回数で2次燃焼、4次燃焼などと呼び分けています。
また、再燃焼させやすくするために触媒を使用した、触媒式の方が効率が良いです。
一方で触媒は定期的に交換が必要になるため、メンテナンスが楽な非触媒式も人気です。
薪ストーブ内の温度が常に高い方が熱効率が良いため、薪ストーブの熱が逃げにくい対流式の方が燃焼効率が良いことが多いです。
また、室内の空気より冷たい外の空気を取り込む外気導入式の方が熱効率が低くなりがちです。
熱効率を良くする工夫として熱を逃がさない手法があるが、一方で薪ストーブの良さである輻射熱の暖かさや加熱調理のメリットがなくなる。
また、扉の数・灰受け皿も断熱に影響する。
熱効率の差は大きくても10%程度なので、熱効率よりもメンテナンス性などの機能を優先する考え方もある。
メンテナンスしやすい薪ストーブの機能とは?
熱効率と同じくらい重要視されるのが、メンテナンス性です。
まず始めに知っておいていただきたいのは、
どんなにメンテナンスが楽な薪ストーブでも、他の暖房器具よりは手間がかかるということです。
薪ストーブを使うにはコストだけでなく、手間もかける覚悟が必要です。
それを理解した上で、少しでもメンテナンスを楽にしたい方は以下の機能を知っておきましょう。
触媒の有無
熱効率の章でも解説しましたが、触媒が無い方式は熱効率が低くなりがちですが、交換の必要が無いのでメンテナンスが楽になります。
扉の位置
扉が正面だけでなく、側面や上面についている機種がありますが、これは薪補給がしやすいのが特徴です。
長い薪は側面からが入れやすい、
上面から入れると灰が溢れ落ちる心配が無いという特徴があります。
一方で、扉部分は断熱性能が落ちます。熱効率が落ちるだけでなく、壁までの離隔距離が大きくなるので注意してください。
灰受け皿
灰を本体下部の受け皿に落とす機能です。こちらは意見が分かれるところで、
「灰受け皿があった方が、扉を開けた時に灰がこぼれ落ちることを防げるし、灰受け皿をそのまま外に持って行って捨てるだけ」という意見がある一方、
「灰受け皿が無い方が、スコップで灰をすくって処分するだけで済むので楽」という意見もあります。
この他にも、
・灰受け皿があると下部から空気を取り込めないので、燃焼方式に影響する
・断熱を考えると灰受け皿に少し灰を残しておく必要がある
などの注意点もある。
まとめ:薪ストーブに正解はない!それぞれの特徴を理解して選ぼう
今回は薪ストーブの基本的な性能等として、
- コスト
- 暖房方式
- 熱効率
- メンテナンス性
を順番に解説しました。
最初に述べたように、メーカーによっては必要な情報が得難い商品も多いので、
自分の求めている条件を明確にしたら近くの代理店に聞くのが手っ取り早いかもしれません。
これが正解!と言うものはないので、それぞれの長所短所を理解して、自分の考えにあった薪ストーブを選びましょう。
次回は実際に薪ストーブを検討するときの選び方メーカー別の特徴等についてまとめていきます。