住宅において雨漏りは実は身近な現象です。
結論から言ってしまうと、地震や台風といった過酷な環境の日本では、全くメンテナンスをせずに雨漏りをしない屋根と言うのは非常に難しいです。
今回はそんな屋根の防水対策、耐用年数について解説していきます。
屋根は3重に防水している
実は屋根というのは瓦や金属板などの仕上げ材、防水紙、野地板(合板)の3つの層によって3重に防水されているのが一般的です。
それぞれ以下の役割があります。
仕上げ材:大半の雨を防ぐ
防水紙:隙間から侵入した水を防ぐ
野地板(合板):最終防衛ライン。少量の水なら濡れても乾くので、簡単には腐らない。
屋根の寿命:防水紙が1番短い
屋根はこの3重の防水の内、一つでも失われると雨漏りのリスクが高くなります。
そして、その中で防水紙が約10〜20年と、一番寿命が短いのです。
その理由は防水紙の伸縮性が失われていくことによります。
伸縮性が失われると、先程の図のように釘による穴から水が入りやすくなる現象と、合板の伸び縮みに耐えられなくなって切れると言う現象が起きやすくなり、雨漏りにつながります。
寿命の長い屋根を作るには
屋根の寿命を長くするには、一つは伸縮性が失われにくい防水紙の種類を使うこと。
そしてもう一つは防水紙が失われても水を処理できるような屋根とすることです。
寿命の長い防水紙を用いる
マスタールーフィングと言う防水紙であれば、60年以上の寿命を持つと言われております。
これを用いれば一般的な防水紙よりは、寿命を延ばすことができるでしょう。
雨を通さない仕上げ材とする
こちらはあまり一般的ではありませんが、雨を全く通さない仕上げとすることによっても、屋根の寿命を延ばすことができます。
昔の桧皮葺(ひわだぶ)きの屋根は、ヒノキの皮を何十枚も重ねることによって、水を通さない屋根を作っておりました。
その他、ほとんど継ぎ目のない金属屋根を葺(ふ)けば雨漏りを防ぐことができますが、こちらは生産・施工が難しくあまり現実的ではありません。
野地板(合板)で雨を処理しやすくする
防水紙の寿命が来ても、合板で雨を処理できるようにすれば飛躍的に寿命が長くなります。
屋根の勾配を急にすることで、合板から水を流しやすくしたり、
屋根の内側に風を通しやすい通気層を設けることによって合板の渇きを早くしたりすることが効果的です。
また、昔の屋根は瓦の内側に土を葺き、土に水を吸収させて乾かしておりました。土の下には杉皮を葺くなどして、野地板が腐らないようにしておりました。
定期的なメンテナンスも重要
以上のような工夫をすることによって屋根の寿命伸ばすことができます。
しかしこれでも屋根の雨漏りの可能性がなくなったわけではありません。やはり10年や20年に1回の定期的なメンテナンスをすることが大切です。
もし雨漏りの疑いがある場合は、放っておくと屋根や梁が腐り大変なことになるので、すぐに業者を呼んで直してもらうことが大切です。
まとめ:屋根は住宅の命
以上、屋根についてでした。
屋根は建物全体の寿命に関わる重要な部分です。多少コストが高くなってもしっかりとした屋根にしていきたいですね。そして、雨漏りはすぐさま修理するようにして下さい。
皆さんの暮らしを良くするヒントになれば幸いです。それでは。