住宅設計

日本でルイカレ邸は再現できるか

ルイカレ邸のリビング

建築の解説とは趣向を変えて、名作住宅の再現について考察してみたいと思います。

写真はアルヴァ・アアルト設計したルイカレ邸です。私が2年前にパリ旅行に行った時に見学しました。
アアルトは北欧で素晴らしい住宅をいくつも手がけておりますが、フランスではルイカレ邸のみです。

この写真を見て、こんな家に住みたい!という方も多いのではないでしょうか。

では、日本でルイカレ邸のような住宅を作る事は可能なのか、検証していきたいと思います。

日本とパリの違い

太陽光度…陰影の違い


太陽高度の違いは室内の光に劇的な違いをもたらします。

北欧では、太陽高度が低いので水平に光が差し込み、部屋の奥深くまでぼんやりと明るくなります。
一方で日本では比較的垂直に光が差し込み、陰影の差がくっきりと強く出るので、
北欧のように部屋全体を均一に明るくするのは難しいです。

とはいえ今回は北欧ではなくパリなので、そこまで劇的な違いは無いと見ていいでしょう。
日本は北緯35度ですが、フランスのパリでは北緯は48.5度となっており、日本より太陽高度がやや低いです。

気候…構造に影響

日本は地震や台風など過酷な環境ですので、屋根や壁を厚く丈夫にすることが求められます。
しかし、ルイカレ邸はそれほど構造的に難しいことはしていないので、そのまま日本でも使えそうな構造です。
伸びやかな庇は、風で飛ばされないような補強が必要そうですが…。

敷地…広くて見晴らしのよい敷地

ルイカレ邸はパリ郊外の、広い芝生の敷地に立っております。日本では田舎の方でも山が多く木が繁っており、このように広々とした見晴らしの良い敷地は少ないです。

相当の広さの土地を買い、木を切り倒して整備する必要性があります。

建材…当時のヨーロッパの製品

ルイカレ邸が作られたのは、今から60年以上前なので既製品が少なく特注品が珍しくない時代となります。

使用された主な材料は漆喰塗りの白レンガ、ライムストーン、天井はフィンランド産の赤松、壁は漆喰などです。

特注品だらけで非常に高コストですが、再現はできそうです。

家具

見学時の家具はアアルト(アルテック社)がデザインした物が数多く配置されていました。
アルテック社は今でも存続している会社で、当時のままのアアルトデザインの家具を販売しております。

居室は基本的にアソートカラーとして青色を配置していました。
かなり大胆ですが、他が落ち着いた色なので良く見えますね。

まとめ:再現は非常にお金がかかるが…

一応、高額なお金を払えば再現は可能です。しかし、日本とパリでは環境が違うので同じ建物を作っても同じような印象にはならないでしょう。

それでもアアルトの建物は非常に素晴らしいデザインですので、
彼のデザインを日本に合うようにアレンジし、日本に合った素晴らしい住宅を作りたいものですね。

今回は趣向を変えて名作住宅の日本での再現を検討してみました。
結果的には当たり前のことしか言えなかった気がします(笑)
素直に建築の解説をした方が良かったかな。

それでは。