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高断熱・高気密住宅と言う言葉も世間に浸透してきて、快適な居住環境のためには断熱が欠かせないものとなってきました。
しかし断熱材が必要という事は分かっても、一体どれくらいの断熱性能が必要でそれをどのように確保したらいいのかということまではわかっている人は少ないでしょう。
今回はそんな当たり前だけれどもよく知らない断熱について解説していきます。
実はまだまだ浅い!断熱材の歴史
断熱の歴史
グラスウールという断熱材が1950年あたりから北海道で使われ始めました。一般に普及し始めたのは1980年頃です。
それまでは壁にもみ殻などを入れて断熱材の代わりとしておりました。当然今ほど断熱性能は高くありません。
ですので、いわゆる断熱住宅と言えるものは、まだ40年程度しか歴史がありません。
現在の工法が確立されたのは25年前、さらに24時間換気の義務化は約15年前です。
断熱住宅の普及当初は、壁や床が腐る問題が発生
実は高気密・高断熱住宅と言うものができた当初は、
外との温度差による結露で木材が湿り、壁や柱が腐ると言う問題が起きておりました。
最初は原因がわからず、1970年代後半になりようやく結露によるものだと判明したのです。
そこで壁の中に風を通す通気工法と言うものが生まれました。
雨を防ぎつつ、内部の湿度を放出する透湿防水シートと併用することで、壁の結露問題は解決しました。
これにより断熱住宅によって起きた結露問題は解決の方向へと向かいました。
木材は100年以上使用できる素材だが、弱点の一つが水による菌の繁殖。
結露水が壁の中に長年滞留することで、木材を腐らせる菌が繁殖してしまう。
気密住宅による問題
断熱をすると同時に、本来すきま風などがあった住宅を完全に密閉した気密住宅が普及しましたが、そこでも問題がありました。
空気が交換されないことによって接着剤などから放出される化学物質の濃度が高まり、
めまいや立ちくらみを引き起こすシックハウス症候群にかかる人が増えたのです。
これにより、吸気口・換気扇を設けて住宅を常に換気することが義務付けられるようになりました。
シックハウス症候群とは、家の環境により起こる症状全般を言う。
有害な化学物質による症状以外にも、蛍光灯の点滅による気分の悪化や、家の傾きによる平衡感覚の狂いなどもシックハウス症候群の一つである。
まとめ:断熱住宅はまだ発展途上
こうした過去の失敗を乗り越えて、現代の高断熱住宅と言うものがあります。
いまだに断熱に関する基準である省エネ基準は改正され続けており、住宅に求められる断熱性能は上がり続けております。
性能が向上する一方で、断熱により起こる問題を忘れて、今なお結露をするような家が作られているのも事実です。
ただ断熱をするだけでなく、換気や結露のことも含めた住宅を考えていきましょう。
以上、皆さんの暮らしを良くするヒントとなれば幸いです。
それでは。