本日は建築見学を趣味としている私がお勧めする住宅、「旧イタリア大使館別荘」を紹介いたします
どうでしょう?落ち着いた内装の雰囲気ですが、その中に遊び心のあるデザインが入っており、お洒落ではないでしょうか。
この建物を設計したのは、洋風と和風を融合させた「和風モダニズム」の先駆者、アントニン・レーモンドです。
レーモンドは和風モダニズムだけでなく、日本における鉄筋コンクリートの開発や、地域に馴染んだ木造の教会を設計するなど、戦前・戦後の日本建築界に多大な影響を及ぼした人物です。
今回はこの建築について解説していきたいと思います。一般公開されており皆さんも気軽に見学に行ける住宅ですので、興味があればぜひお立ち寄りください。
湖に面するプライベートな別荘地
旧イタリア大使館別荘は日光の中禅寺湖と言う外国人の別荘が立ち並ぶ避暑地に立っております。
当時はこの湖で居住者たちがヨット遊びをして交流を深めていたそうです。
今でも旧イタリア大使館からは中禅寺湖の開けた眺望が望め、またヨットが停めてあったと思われる桟橋へとリビングが続いております。
特殊な材料・職人技
旧イタリア大使館別荘の最も特徴的な部分の1つが使われている素材です。
このパッチワークのような外観は日光杉の皮と板を交互に貼り合わせたものです。
これらは杉皮葺(ぶ)き・こけら葺きと呼ばれ、日本でも古くから屋根材や壁材として使われている伝統的な手法です。現在では瓦や金属板の普及によって職人が激減しております。
ここで特徴的なのは本来屋外に使われる杉皮を内装材として室内まで使用していることです。
ラフな表情の杉皮をそのまま使っても室内には馴染みませんが、この住宅では繊細な幾何学模様に張っており、それも職人技で非常に綺麗に張ることによって、室内に馴染みつつ非常に豊かな表情の空間を生み出しております。
また、樹皮の押縁として竹を使用しております。丈夫本来このような用途で使うことが少なく、ここでもデザインを実現させたのは職人技の賜物と言えるでしょう。
日本古来の素材と技術を組み合わせつつ、レイモンドのモダンな設計力が融合した素晴らしい住宅となっております。
暖炉の名手
レイモンドは日本の住宅に暖炉をもたらした最初期の設計者でもあります。
これはレイモンドの師匠であるフランクロイドライト譲りの手法です。
旧イタリア大使館別荘でもリビングの中心となるような位置に暖炉があります。暖炉の火は暖かいだけでなく、空間の主役となるような存在感がありますね。
別荘の一角で優雅なひとときを
旧イタリア大使館別荘では、室内の一角をカフェとして利用しております。ここではケーキやコーヒーをいただくことができ、中禅寺湖を眺めながら優雅なひとときを過ごすことができるのでお勧めです。
周辺の観光地にも注目
旧イタリア大使館別荘に行く途中には、洋風で明るい雰囲気のイギリス大使館や、中禅寺などがあります。どちらも徒歩圏内にまとまっていますので、まとめて見学に行くのも良いでしょう。
以上、建築好きの方々の旅行先の参考になれば幸いです。
私自身建築旅行が大好きなのでこれからも時々こんな記事を書いていきたいと思います。
それでは。